外国人技能実習生制度を採用している企業が増えてきています。
監理団体の監査があるのはご存知かと思います。
が、
3年に1回程度外国人技能実習機構の監査があります。
これは監理団体が実施する監査よりもかなり厳しいです。
準備する書類等もかなり多いです。
本来であれば抜き打ちで来ることが多いようですが、私は1週間ほど前にあらかじめ連絡をいただきました。
監査の内容は、書類関係をきちんと保管しているか、給与の支払い等がきちんとされているか、といったことに加えて、実習生の宿舎のチェックもされます。
コロナ禍なので、宿舎のチェックは直接行かずに口頭で済まされましたが、本来であれば直接見に行くそうです。
今回はいつ監査が来てもいいようにどのような書類を準備しておけばいいかポイントを解説します。
こんな方におすすめ
- 外国人技能実習生を雇っている方
- 外国人技能実習機構の監査を予告されている方
この記事の権威性
- 実際に2020年秋に監査を受けました
外国人技能実習機構監査のポイント①帳簿書類
帳簿書類は確実に見られます。
最低限準備しておかなければいけない書類を挙げます。
技能実習生の管理簿
技能実習生の管理簿としてこの5つは最低限準備しておきましょう。
・技能実習生の名簿
・技能実習生の履歴書
・雇用契約書及び雇用条件書
・36協定、変形労働制協定
・賃金台帳
技能実習生の名簿
これは文字の通り、技能実習生の生年月日や名前、在留カードの番号等が記載されている名簿になります。
在留資格を更新していても、名簿がそのままになっていることがあるのできちんと更新して最新のものを見せるようにしましょう。
技能実習生の履歴書
日本に来る前にどのような仕事をしていたのか等がかかれている履歴書になります。
これは恐らく監理団体経由で渡されていると思います。
一見不要そうな書類に見えますが、常に綴じておかなければいけないので探しておきましょう。
もし失くしたという方は、まず監理団体に問い合わせてみるといいでしょう。
雇用契約書及び雇用条件書
これは賃金額や勤務時間等が書かれている書類になります。
これは実習生のサインがかいてあるかきちんと確認しておきましょう。
在留資格の更新があったときに雇用契約書や条件書もきちんと更新しているか確かめましょう。
その会社独自の様式で作っている会社もあるので、今一度全員分きちんとあるかチェックするのもいいと思います。
36協定、変形労働制協定
これは、外国人技能実習生用の物ではなく、日本人向けの物で大丈夫です。
恐らく就業規則と一緒になっている会社も多いのではないのでしょうか。
賃金台帳
賃金がきちんと支払われているか見られます。
契約より少ないことがないか、違反していることはないかどうかの他に残業についても見られます。
残業時間が多すぎないか、残業している割に賃金が少なすぎないかを見られます。
認定計画の履行状況に係る管理簿
これは恐らく毎月作成していると思います。
監理団体の監査でも毎月提出しなければいけないので、作成して綴じておかなければいけません。
書類関係がきちんと保管されているか、実習が問題なく行われているか、労災がないか、実習生のトラブルがないかなどの報告をする用紙です。
技能実習日誌
これも毎月作成していると思います。
実習生が日本に来て毎月作成されているか見られます。
きちんと「実習生への指導事項」を書くようにしましょう。
これがあるかないかでかなり監査官の反応が違います。
きちんと何を指導したのか書いておくようにしましょう。
例えば、建設業であれば「工具の取り扱い注意」とか、介護業界であれば「ベッドから起こすときに注意」とかになるんですかね。
ここで一点注意事項があります。
それは、
毎月「技能実習生一覧表」を一緒に綴じなければいけないことです。
そうです。毎月メンバーは変わりませんが、実習日誌と一緒に「技能実習生一覧表」を毎月印刷して一緒に綴じておくようにしましょう。
外国人技能実習機構監査のポイント②他、関連書類
①の帳簿書類の他にもかなり書類を見られます。
準備しておかなければいけない書類を挙げます。
タイムカード等の出退勤記録、残業、休日労働の記録
どれくらいの時間働いているのか、残業は毎月何時間かのか、休日は年間どれくらい取れているのか等見られます。
休日出勤があったときは代休の取得が必須ですが、その代休が取れているかどうかといったことも見られます。
健康診断の記録
実習生の健康診断の結果についても見られます。
健康診断を年に1回実施しているかどうか、どのような結果なのかというのはもちろん、所見があったときに「医師の意見」が書かれているかも大切になってきます。
ちなみに、医師の意見は産業医を契約していなくても所見があった場合は意見をもらわなければいけません。
就業可なのかどうかといった記載も大切になってきます。
産業医がいなければ、近隣の病院の先生にお願いしてみましょう。
年次有給休暇管理簿
有給休暇を実習生にも与えているか、取得できているかを見られます。
年に5日以上取得できていればベストですね。
実習責任者・実習指導員に係る常勤が確認できる書類
技能実習制度を採用するためには、実習責任者と実習指導員の配置が必須となります。
常勤を確認するためにタイムカードの見せなければいけないのですが、会社によっては役員の方がやっている場合もあるようです。
その場合は保険証などを見せるとよいです。
実習指導員は、何人の実習生を雇っているかにもよりますが、1人だけではなく複数人いるといいようです。というのも、もしその人が休みの時どうするのかといった問題があるようです。最低2人は選任しておくとよいです。
技能実習指導員は研修が必須ではないので、追加したい時は監理団体に問い合わせて、書式をもらうといいです。
養成講習に係る受講証
技能実習責任者(必須)、技能実習指導員(任意)、生活指導員(任意)の受講証が必要になります。
きちんと講習会を受けているかどうかの確認ですね。
水道光熱費等の控除があれば、その計算根拠が分かるもの
実習生の宿舎の光熱費や家賃の控除がある場合は、その計算根拠になる資料が必要になります。
光熱費や水道代の領収書など月ごとにつづっておくといいです。
さらに、給与から控除する項目については実習生とあらかじめ契約書を取り交わしておかなければいけません。
勝手に給与から控除するのは違反になります。
これも監理団体が書式を持っているので、もしも光熱費の控除について実習生と契約していなければ契約しておきましょう。
労働保険年度更新申告書
これは毎年会社で手続きしていると思います。
問題ないかと思います。
技能実習生の母国語で作成された作業手順書、労災防止するために作成、周知したもの
これは外国人技能実習生向けの物でなければいけません。
手順書を作成してファイルに綴じておきましょう。
日頃あまり見ないからといって、どこにやったか分からないといったことがないようにしましょう。
寄宿舎の間取り図
実習生が生活している宿舎の間取り図が必要になります。プライベート空間が確保されているか等が見られます。
賃貸の場合は賃貸契約書が必要になります。
実際に監査時に間取り図の他に現地に行って宿舎を見せなければいけません。
もちろん中も見られます。
その中で、私有物保管庫の設置も見られます。
これは、2020年の3月に義義務付けられたものです。
こちらの記事を参考にしてください。
合わせて読みたい
作業に必要とされる資格取得、特別教育を受けたことが確認できる書類
これは、会社に配属される前の研修で資格の申し込みをしていれば、該当の資格を取得してきます。
資格証をコピーしておいておきましょう。
変更等の届出に関する書類
給与の変更、給与から控除する事項の変更、など何か変更があったときに申請する書類です。
きちんと変更の履歴を保管しているかどうかが見られます。
実施状況報告書
年に1回「実施報告書」という物を作成して提出しなければいけません。
技能検定の受験状況や、基本給、昇給率、日本語の学習状況、地域社会との共生に向けた取り組み等を報告します。
これは、優良な受け入れ企業の基準となるかどうかの指標にもなるものです。優良な受け入れ企業である場合、2号から3号への移行が可能になります。
前に外国人技能実習生の日本語学習について記事を書いたのでこちらも参考にしてみてください。
合わせて読みたい
まとめ
外国人技能実習機構の監査では、普段の監理団体の監査よりもかなり細かく診られます。
もしも是正勧告があれば是正して報告しなければいけません。「是正勧告」は是正しないと、最悪の場合技能実習制度の取消に繋がる可能性もあります。
この記事を参考にして監査に向けて準備してみてください。